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第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題26~30】

問題26 燃え尽き症候群(バーンアウト(burnout))の特徴として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 首から肩,腕にかけて凝りや痛みが生じる。
2 人格・行動変化や失語がみられる。
3 無気力感,疲労感や無感動がみられる。
4 身体機能の低下がみられる。
5 日中に耐え難い眠気が生じる。

 

解答

解説

 燃え尽き症候群 (バーンアウト)とは意欲的に仕事に取り組んでいた人が突然、無気力な状態になってしまうことをいい、対人職の人に多くみられる。その要因は利用者や職場の人間関係、利用者との価値観の違いによる葛藤などさまざまである。予防法は、①十分な休息をとる、②オンとオフを切り替えて気分転換を図る、③何でも相談できる相手がいること、④自分自身の心身の状態を把握すること、などがあげられる。

1.× 選択肢は、頸肩腕障害の特徴である。主な原因は、筋肉の疲れである。長時間同じ姿勢を続けていると筋肉が硬くなって血行が悪くなり、首、肩の疑りや痛みを発症する。
2.× 人格行動変化がみられる代表的な疾病は、ピック病 (Pick disease)である。特徴的な症状は、さっきまで笑っていた人が突然泣き出すなどの情緒障害や、温厚だった人が怒りっぽくなるなどの人格障害、万引きを繰り返すなどの異常行動などがある。また、失語は、大脳の言語中枢の損傷により起こるため、適切ではない。
3.〇 無気力感、疲労感や無感動は燃え尽き症候群の症状である。具体的な症状として朝、起きられないことや、「職場に行きたくない」と家から出られなくなることなどがあげられる。症状が悪化すると、不眠、頭痛、胃痛など身体症状が現れ、アルコールや薬物などに依存したり、うつ病に至るケースもある。燃え尽き症候群になりやすい人の性格の特徴として「真面目な人」「理想が高く責任感が強い人」「やる気のある人」などがある。
4.× 選択肢は高齢者の身体的特徴である。その他、免疫力、抵抗力の低下など年齢を重ねることで少しずつ身体に変化が現れる。 燃え尽き症候群(バーンアウト)の特徴としては適切ではない。
5.× 日中耐え難い眠気が生じる原因はさまざま考えられるが、燃え尽き症候群(パーンアウト)の人は不眠になりやすいため、特徴として適切ではない。選択肢の症状は過眠症睡眠時無呼吸症候群などが考えられる。

 

 

コミュニケーション技術

問題27 利用者とのコミュニケーションにおいて逆転移が起きている事例に該当するものとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 自分が利用者を嫌いなのに,利用者が自分を嫌っていると思い込む。
2 亡くなった祖母と似ている利用者に,無意識に頻繁に関わる。
3 利用者に対する不満を直接ぶつけずに,机を強くたたいて発散する。
4 敬意を抱いている利用者の口癖を,自分もまねて用いる。
5 利用者に対する嫌悪の感情を抑え,過剰に優しく利用者に接する。

 

解答

 心理学の精神分析における転移、逆転移についての知識について正しく理解する。また、選択肢には防衛機制(適応機制)の内容が含まれている。

解説
1.× 自分が利用者を嫌いなのに、利用者が自分を嫌っていると思い込む現象は、防衛機制における投影を表している。投影とは、自分のなかの認めがたい抑圧した感情が、他人のなかにあるようにみなすことを意味している。
2.〇 転移とは、過去に誰かに抱いた感情や態度を、現在の他人に置き換えて表現することを意味する。逆転移は、転移を示した人に対する支援者側の無意識な態度のことを意味している。亡くなった祖母と似ている利用者に、無意識に頻繁に関わる現象は逆転移が起きているといえる。
3.× 利用者に対する不満を直接ぶつけずに、机を強くたたいて発散する現象は、防衛機制における置き換えを表している。置き換えとは、ある対象に向けられた愛情や憎しみなどの感情を、本来の対象とは別の対象に向けて表現することを意味している。
4.× 敬意を抱いている利用者の口癖を、自分もまねて用いる現象は、防衛機制における同一化を表している。同一化とは、他者のある一面やいくつかの特性を、 自分のなかに当てはめて、それと似た存在になることを意味している。
5.× 利用者に対する嫌悪の感情を抑え、過剰に優しく利用者に接する現象は、防衛機制における反動形成を表している。反動形成とは、知られたくない本心とは正反対の言動をとることで、本当の自分を隠そうとすることを意味している。

 

問題28 介護福祉職が行う傾聴に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 利用者が抱いている感情を推察する。
2 利用者が話す内容を介護福祉職の価値観で判断する。
3 対話の話題を介護福祉職の関心で展開する。
4 利用者が体験した客観的事実の把握を目的とする。
5 利用者が沈黙しないように対話する。

 

解答

 開華とは、相手の話に熱心に耳を傾けることである。話の内容だけでなく、その話に伴う相手の感情や思いにも関心をもって、深く理解しようとする積極的な聴き方といえる。傾聴するときには、話しやすい雰囲気に配慮し、 うなずきやあいづち、繰り返しなどのコミュニケーション技術を活用して、「あなたの話に関心をもっています」という聞き手の熱意を効果的に表現することが大切。

解説
1.〇 介護福祉職が行う傾聴では、利用者が抱いている感情を推察することが大切である。利用者の抱いている感情は言葉によって表現されないこともあるため、「どのような気持ちなのだろう」と推察しながら話を聴くことが求められる。
2.× 利用者が話す内容を介護福祉職の価値観で判断するのではなく、ありのままに受け止め、理解しようとすることが求められる。介護福祉上職の個人的な価値観で判断しようとすると、利用者や利用者の話す内容に対して先入観や思い込みが生まれやすくなる。
3.× 対話の話題を介護福祉職の関心で展開するのではなく、利用者が話したいと思ったことを、自由に話すことができるようにすることが望ましい。そのためには、介護福祉職は話しやすい雰囲気に配慮したり、コミュニケーション技術を適切に活用したりして、利用者の話を傾聴することが求められる。
4.× 傾聴の目的には、利用者が体験した客観的な事実を把握するだけでなく、利用者の主観的な思いや感情などを理解することも含まれる。
5.× 利用者カが沈黙したときには、次々に話しかけたり、利用者に話すことを催促したりするのではなく、黙って待つことが大切である。利用者のペースに合わせ、沈黙を共有することによって、利用者が自主的に発言したり、自由に表現したりする機会を提供することができる。

 

 

問題29 Hさん(75 歳,男性)は,脳梗塞(cerebral infarction)を発症して入院し,後遺症として左片麻痺が残った。退院後,介護老人保健施設に入所し,在宅復帰を目指してリハビリテーションに取り組んでいる。ある日,HさんはJ介護福祉職に,「リハビリを頑張っているけれど,なかなかうまくいかない。このままで自宅に戻れるようになるのか…」と暗い表情で話しかけてきた。
 このときの,Hさんに対するJ介護福祉職の共感的な応答として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 「不安な気持ちに負けてはいけません」
2 「きっと自宅に戻れますよ」
3 「Hさんが不安に思う必要はありません」
4 「不安に思っているHさんがかわいそうです」
5 「リハビリがうまくいかなくて不安なのですね」

 

解答

解説

 共感的な応答とは、介護福祉職が共有した利用者の感情を、言葉で伝えることである。「○○な気持ちだったのですね」「○○と感じたのですね」などと、 共有した利用者の気持ちや思いを伝えることで、 利用者の感情に寄り添うことが大切である。

1.× 「不安な気持ちに負けてはいけません」 は、Hさんを𠮟咤激励しようとする言葉であり、共感的な応答ではない。まずはHさんの気持ちに理解を示して、不安な思いに寄り添うことが求められる。
2.× 「きっと自宅に戻れますよ」は、介護福祉職の個人的な考えに基づく言葉であり、共感的な応答ではない。 Hさんを励ましたい、あるいは、安心させたいなどの気持ちから出てきた言葉と考えられるが、根拠もなく「きっと自宅に戻れますよ」と伝えることは望ましくない。
3.× 「Hさんが不安に思う必要はありません」は、Hさんの不安な気持ちを否定している言葉であり、共感的な応答ではない。
4 .× 「不安に思っているHさんがかわいそうです」は、同情的な応答であり、共感的な応答ではない。「同情」は自分を基準にした感情的反応である。介護福祉職からみて「かわいそう」と感じたことを表現するのが同情であるのに対して、相手を基準にして、その感情に理解を示すのが共感である。
5.〇 「リハビリがうまくいかなくて不安なのですね」は、共感的な応答である。Hさんの気持ちをそのまま受け入れて、介護福祉職が理解したHさんの感情を伝えている。

 

 

次の事例を読んで,問題30,問題31 について答えなさい。
〔事 例〕
Kさん(75 歳,女性)は,小学校教諭を定年退職した後,しばらく趣味やボランティア活動を楽しんでいたが,認知症(dementia)を発症し,介護老人福祉施設に入所した。見当識障害や記憶力低下がみられた。入所後,初めて息子夫婦が面会に来た。
 Kさんは息子に向かって,「ここで,国語を教えているの」と嬉しそうに語った。息子夫婦は面会を終えて,介護福祉職のところに相談したいとやって来た。困惑したような表情の息子から,「母が,学校で教えていると言った時,どうしたらよいでしょうか」と質問があった。

 

問題30 このときの,息子に対する応答として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

 

1 「ここは学校ではないので,息子さんから直してあげてください」
2 「お母さんの教員としての誇りを大切にしてあげてください」
3 「お母さんの認識を改めるための何か良い知恵はありますか」
4 「認知症(dementia)が進行しているので仕方ありません」
5 「私たちも息子さんと同じように困っているんです」

 

解答

解説

 認知症によって記憶力が低下したり、見当識が障害されたりすると、その人が構成する世界(その人の内的世界)と客観的な現実の世界にずれがみられるようになる。介護福祉職は、認知症のある人の言動には、このようなずれが育景にあることを理解し、家族がそのずれを否定したり、修正しようとしたりせず、受け止めることができるように助言することが大切である。

1.× 「ここは学校ではないので、息子さんから直してあげてください」は、Kさんの発言を息子に修正させようとする助言であり、適切な応答とはいえない。息子が「ここは学校ではない」と事実を伝えたり、「ここは入所した施設である」と修正したりすれば、Kさんは混乱して、ますます不安を募らせてしまうこともある。
2.〇 「お母さんの教員としての誇りを大切にしてあげてください」は、Kさんの自尊心と息子の気持ちの両方に配慮した、最も適切な応答である。息子にとっての現実の世界では、Kさんは認知症を発症して施設に入所しているが、Kさん本人は学校で国語を教えていると信じており、それを嬉しそうに語っている。そのずれに直面して困惑しているときに、「Kさんの誇りを大切にする」という肯定的な考え方を助言することは、介護福祉職として望ましい応答といえる。
3.× 「お母さんの認識を改めるための何か良い知恵はありますか」は、息子からの質問に対して介護福祉職が逆質問をしており、適切な応答とはいえない。息子はKさんへの対応について「どうしたらよいでしょうか」と質問しており、Kさんの認識を受け止められるような助言をすることが大切である。
4.× 「認知症が進行しているので仕方ありません」は、質問に対する返答になっていないだけでなく、息子の戸惑いに寄り添う気持ちも感じられない返答であり、介護福祉職の応答として適切とはいえない。
5.× 「私たちも息子さんと同じように困っているんです」は、息子の質問を介護福祉職の話にすり替えており、 適切な応答とはいえない。

 

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