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第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題116~120】

問題116 訪問介護員(ホームヘルパー)が,自宅に戻ったFさんの皮膚疾患に関する日常生活上の留意点を妻に指導する内容として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 からだを温める。
2 足を乾燥させる。
3 着衣や寝具は熱処理する。
4 足にワセリンを塗る。
5 処方された塗り薬は気がついたときに塗る。

 

解答

解説
 足白癬は、一般的に「水虫」と呼ばれ、 かゆみを伴う症状や、浴室の足試きマットなどの共有により家庭内感染することがよく知られている。Fさんの症状は麻痺側の左足指に出現しており、血液循環が悪いため新たな細菌感染症を引き起こすリスクがある。

1.× 白癬菌は、高温多湿を好むので、「からだを温める」ことは菌を増殖させるおそれがある。
2.〇 白癬菌は、高温多温を好むので、足(患部)を乾燥させるよう留意することは適切である。医師に処方された軟膏を塗る場合も、前に塗布した薬や汗などを試きとり、乾燥させてから塗ることが原則である。
3.× 身体からこぼれ落ちた白癬菌は、通常の洗濯および乾燥で死滅する。熱処理までは必要ない。着衣や寝具の熱処理が必要な感染症としては、ダニを媒介とする疥癬がある。
4.× ワセリンは、肌に油膜を張り水分の蒸発を防ぐため、フットケアの一環として下肢に塗布することはある。しかし、白癬治療では患部を乾燥させる必要があるので適切でない。
5.× 白鮮で処方される塗り薬 (抗真菌薬)は、菌を殺す薬ではなく、菌の増殖を止める薬である。菌がいる古い角質が新陳代謝により新しい細胞に押し出され、垢になって落ちていくことで治癒する。よって、医師の処方を守り、毎日・広範囲に塗ることが効果的である。また、症状が消えてからも1~2か月は塗り続けることが完治につながるといわれている。

 

 

 

総合問題2

次の事例を読んで,問題117 から問題119 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Gさん(84 歳,女性)は, 8 年前に経済的な理由から養護老人ホームに入所した。
Gさんは,「自分のことは,自分でやりたい」といつも話しており,毎朝の体操が日課であった。施設のプログラムである健康体操にも他の利用者と楽しみながら毎週参加していた。
しかし,最近は,足がすくんだようになり,始めの一歩をうまく出せず,歩行に不安を抱えるようになった。
 Gさんは,物忘れなどの症状が以前からみられていたこと,また他の症状もみられるようになったことから,医師の診察を受けたところ,レビー小体型認知症(dementiawith Lewy bodies)と診断された。
 Gさんは,居室の前にあるトイレに行くとき,転倒してけがをするのではないかと不安になっている。Gさんが入所している施設は,N県から介護保険サービス事業者の指定を受けている。この施設で生活を続けたいというGさんの意向を受けて,本人を交えて施設職員と介護支援専門員(ケアマネジャー)が支援の内容を検討した。

問題117 Gさんが診察を受けるきっかけとなった他の症状とは,発症した認知症(dementia)の特徴的な症状の一つである。他の症状に該当するものとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 片麻痺
2 脱抑制
3 幻視
4 常同行動
5 感情失禁

 

解答

解説
 レビー小体型認知症は、脳内に異常なたんぱくがたまり、脳の神経細胞に影響を与えることによって認知症の症状が出る。特徴的な症状として、 ①認知機能の低下②幻視③パーキンソン症状が認められる。

1.× 片麻痺は、血管性認知症にみられる特徴である。認知症の発症が脳梗塞等の脳血管疾患を原因としている場合、その後遺症として片麻痺が認められる。ほかに感覚障害や構音障害等も認められる。
2.× 脱抑制は、前頭側頭型認知症にみられる特徴である。脱抑制とは、経験するさまざまな事象に対して、感情や衝動性をコントロールすることができなくなった状態である。
3.〇 幻視は、レビー小体型認知症にみられる特徴である。「家の中に知らない人がいる」というような訴えや、現実には存在しない虫や動物等が見えていると訴える。
4.× 常同行動は、前頭側頭型認知症にみられる特徴である。特定の行為・行動様式を繰り返す状態を指し、単純な身体動作を繰り返すことである。その他、常同的周遊、時刻表的生活、常同的食行動異常などの症状もみられる。
5.× 感情失禁は、血管性認知症に多くみられる特徴であり、さまざまな感情をコントロールしにくくなり、悲しみや怒りなどが表出しやすくなる。

 

 

問題118 Gさんの移動に関する支援として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 床にある目印をまたぐように声かけをする。
2 車いすで移動する。
3 居室にカーペットを敷く。
4 歩幅を小さくするように声かけをする。
5 四点杖の使用を勧める。

 

解答

解説
 パーキンソン症状に代表的なものとして、①振戦②筋固縮③姿勢保持障害④歩行障害などがあり、身体全体の動きが悪くなる。Gさん自身も転倒の不安を抱えていることからも、安全面に配慮した介助と環境整備の方法について理解しておきたい。

1.〇 パーキンソン症状の歩行障害(すくみ足現象)により、始めの一歩が踏み出せないという特徴がある。そのため、歩行の支援をする際、始めの一歩を大きく踏み出すことを意識できるように、床にある目印をまたぐように声かけをすることは有効な方法である。
2.× Gさん自身も転倒の不安を抱えているが、安易に車いすの使用を勧めることは適切ではなく、「自分のことは、自分でやりたい」というGさんの思いも尊重し、歩行の自立度を維持していく必要がある。
3.× 居室のカーベットについては、毛足が長いカーベットの場合、足に引っかかりやすく転倒の危険がある。また、毛足が短いカーペットの場合でも、小刻み歩行の特徴から、床とカーペットの小さな段差につまずきやすく、転倒のリスクが高いと考えられる。
4.× パーキンソン症状によって歩行が小刻み歩行になっているため、歩幅を小さくするように声かけを行うと、さらに歩幅が小さくなることが考えられる。「歩幅を大きめにして、床に踵からつくようにしてください」というような声かけが有効な方法である。
5.× 四点杖は、T字杖等に比べて安定性が高く、今後のGさんへの活用も検討できるが、時期早々である。T字杖の検討は考えられるが、いきなりの四点杖は、現在のGさんの歩行に関する身体状況を考えれば現状において最も適切な選択肢とはいえない。

 

 

 

 

問題119 Gさんの意向を踏まえた介護保険サービスとして,正しいものを1 つ選びなさい。

1 看護小規模多機能型居宅介護
2 小規模多機能型居宅介護
3 短期入所療養介護
4 特定施設入居者生活介護
5 認知症対応型共同生活介護

 

解説

解答
 問題の選択肢に出てくるサービスの特徴を理解したうえて、Gさんの心身状況と「この施設で生活を続けたい」という思いを正しく把握しておく。

1.× 看護小規模多機能型居宅介護は、「訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」を組み合わせて提供するサービスである。2012 (平成24)年より「複合型サービス」として提供されており、がん末期恵者の看取りを含む在宅生活の継続や退院直後の在宅生活へのスムーズな移行などのニーズに対応するサービスである。市町村長が指定・監督を行う、地域密着型サービスに分類される。
2.× 小規模多機能型居宅介護は、在宅生活をしている利用者に対して、「通い」を中心に「訪問」や「泊まり」を組み合わせた多機能なサービスを提供している。登録定員が29人以下と定められており、 市町村長が指定・監督を行う地域密着型サービスに分類される。
3.× 短期入所療養介護(ショートステイ)は、介護老人保健施設などに短期間入所し、看護、医学的な管理のもとで生活人の支援を行うサービスである。利用する本人の療養生活の質の向上のほか、家族の負担を軽減するためのレスバイトケアのためのサービスとしての役割も担っている。都道府県知事による指定・監督を受ける。
4.〇 特定施設入居者生活介護は、特定施設(有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームであって、地域密着型特定施設でないもののこと。以下、有料老人ホーム等)に入居している要介護者に対して、生活上の支援を行うサービスである。老人福祉法に現定される有料老人ホーム等が介護保険の特定施設として指定を受けることで介護保険のサービスとして利用できる。都道府県知事による指定・監督を受ける。Gさんの移行は、「この施設で生活を続けたい」ということなので、養護老人ホームを続けながら、生活上の支援を行えるこの選択肢が適切である。
5.× 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、居住系サービスとして位置づけられるサービスで、認知症で介護を必要とする利用者に対して、家庭的な環境と地域との交流のもとで生活上の支援をするものである。入居定員は5人から9人で、居室は原則として個室である。市町村長が指定 監督を行う地域密着型サービスに分類される。

 

 

 

総合問題3

次の事例を読んで,問題120 から問題122 までについて答えなさい。
〔事 例〕
 Hさん(26 歳,女性)は,腰髄損傷(lumbar spinal cord injury)で両下肢麻痺の障害があり,車いすを使用してADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)は自立している。銀行で働きながら一人暮らしをして,休日は,友人とスキューバダイビングを楽しんでいた。
 Hさんは,こだわりや責任感が強く真面目で,悩みごとを打ち明けられない性格であった。
 ある日,友人が表情の暗いHさんを心配して話を聞いてみると,「食事が喉を通らず,頭痛や思考力低下があり,寝つきは良いが,すぐに目が覚めて眠れず,仕事上のミスが続き仕事に行けない日がある」と話した。友人の勧めで専門医を受診した結果,Hさんはうつ病(depression)と診断された。
 その後,治療を受けながら仕事を続けていたが,激しい動悸,息苦しさ,めまいを伴うパニック発作が繰り返し起こり,仕事を休職して治療に専念することにした。

問題120 Hさんの睡眠障害として,正しいものを1 つ選びなさい。

1 レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome)
2 概日リズム睡眠障害(circadian rhythm sleep disorder)
3 レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder)
4 環境因性睡眠障害
5 中途覚醒

解答

解説

1.× レストレスレッグス症候群は、「むずむず脚症候群」ともいわれる。睡眠中の不随意運動がひどくなり、「むずむずする」「痛がゆい」という異常感覚が下肢を中心に起こり、寝つくことができなくなる。鉄欠乏性貧血入工透析妊娠などにより出現することもある。
2.× 概日リズム睡眠障害は、「睡眠覚醒リズム障害」ともいわれ、体内時計の調節異常のために睡眠と覚醒のリズムが壊れてしまう障害である。睡眠相後退型、睡眠相前進型、フリーラン型、不規則睡眠・覚醒型などがある。
3.× レム睡眠行動障害は、夢の中の行動が実際の寝言や異常行動として現れ、睡眠中に突然叫んだり、身体を動かしたり、暴れだしたりすることもあるが、レム睡眠が終わるとそのような行動は消失して安らかな睡眠に戻る。レビー小体型認知症の人によくみられる。
4.× 環境因性睡眠障害は、文字どおり環境条件に起因する睡眠障害である。主に環境騒音や暑さ、寒さなどによって睡眠が妨げられることにより、不眠や日中の過剰な気が起こるといった症状が現れる。しかし、それらの環境要因が消失すれば症状が改善することが多い。
5.〇 中途覚醒は、入眠障害や早朝覚醒、熟眠障害などの不眠を分類したなかの1つの症状である。睡眠中に何度も目が覚め、一度起きるとその後なかなか裏つけなくなるなどの特徴がある。事例文中にHさんが「寝つきは良いが、すぐに目が覚めて眠れず」と話していることから、中途覚醒であることが判断できる。

 

 

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