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第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題106~110】

問題106 睡眠に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 加齢に伴って睡眠時間は短くなる。
2 睡眠障害の多くは遺伝性である。
3 過眠は睡眠時間が長くなることをいう。
4 睡眠中は体温が上昇する。
5 睡眠周期は約60 分である。

解答

解説

1.△ 高齢になると、脳が休む深い睡眠のノンレム睡眠と、身体が休む浅い眠りのレム睡眠の両方が減るために、熟睡感は得られにくい。また高節者は、運動量が低下するなどの理由から、必要な睡眠時間は短く、睡眠は全体に浅くなる傾向にある。個人差があるため、文章のようにすべての高齢者が「加齢に伴って睡眠時間は短くなる。」と断言していいものかは正直どうだろうかと私は考えている。
2.× 睡眠障害は後天的な障害である。睡眠障害を引き起こす原因には、心理的要因(心配事や不安感など)、精神医学的要因(うつ病や心身症などの精神疾患)、生理的要因(加齢や不規則な生活など)、身体的要因(痛みやかゆみ、慢性疾患な薬物要因(ステロイドホルモンなどの副作用)がある。
3.× 過眠症は、十分に眠っているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じて、起きているのが困難になる状態が1か月以上続くことである。したがって適切ではない。眠気がいつ襲ってくるかわからず、意識的に止めることもできないので、社会生活に支障をきたす。そのため治療が必要である。
4.× 睡眠中の体温は低くなるため、適切ではない。眠りが深いほど体温は下がっていく。
5.× 睡眠には一定の周期がある。ノンレム睡眠からレム睡眠への移行が1つの周期となり、およそ90~110分周期で繰り返される。したがって適切ではない。

 

 

 

問題107 睡眠に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 高齢者の中途覚醒は,水分の摂りすぎが原因である。
2 レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome)は,下肢を動かすと症状が軽快する。
3 仰臥位で眠ると,いびきが改善する。
4 睡眠時間の確保には,寝だめが有効である。
5 熟睡するには,就寝前の飲酒が有効である。

 

解答

解説

1.× 中途覚醒とは、いったん寝ついても、夜中に何度も目が覚めることである。高齢者の中途覚醒の原因には、ストレス、前立肥大症や糖尿病、夜間の尿の濃縮力の低下による頻尿(水分の摂りすぎ)など、様々である。選択肢の記述のように、水分の扱りすぎだけが中途覚醒の原因であると断定することはできない。
2.〇 レストレスレッグス症候群とは、「むずむず脚症候群」ともいい、不快な異常感覚が下肢を中心に出現する。この症状は、昼間よりも夜間に生じやすく、下肢を動かすと軽減する。このため、眠ろうと思って布団に入っても下肢を動かさずにはいられず、不眠の原因となる。
3.× いびきの原因は、気道が狭くなっていることである。仰臥位は気道が圧迫されやすいので、いびきが発生しやすい。いびきを解消するためには、側臥位にしたり、枕の高さを調整することなどが必要である。
4.× 人体には、睡眠不足に応じて睡眠を生じさせるはたらきがあり、必要な睡眠の量を睡眠負債という。睡眠負債は、その時点までの疲労回復に必要な睡眠の量であるため、それ以上眠ろうとしても目が覚めてしまう。よって寝だめをすることはできない。
5.× 飲酒によって寝つきがよくなることもあるが、一般的に、アルコールが体内で分解されるときに覚醒作用が起こり、 睡眠は浅くなる。よって飲酒は、熟睡するのに有効ではない。

 

 

 

 

問題108 Eさん(75 歳,男性)は, 2 年前に肺がん(lung cancer)と診断されて,抗がん剤治療を受けていたが,効果がなく1 か月前に治療を中止した。その後,日常生活に支援が必要となり,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。訪問介護員(ホームヘルパー)は初回訪問を終えて帰ろうとした時に,いきなりEさんから,「もう来なくてもいい」と厳しい口調で言われた。また,「どうして私だけが,がん(cancer)にならなければならないのか」という言葉も聞かれた。
 Eさんの心理状態について,キューブラー・ロス(Kübler-Ross, E.)が提唱した心理過程の段階として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 否認
2 怒り
3 取り引き
4 抑うつ
5 受容

 

解答

解説
 キューブラー・ロスの提唱した心理過程とは、終末期にある人の心場を5つの段階で段明したものである。第1段階から順に「否認 (否認と孤立)」「怒り」「取り引き」「抑うつ」「受容」の段階となる。この心理過程は、自己防衛メカニズムにもとづいて説明されている。

1.× 否認(否記と孤立)は、自分の起こったことを受け入れられず、「自分のごとではない」と考える第1段階の心理過程である。
2.〇 問題文の「どうして私だけが、がんにならなければならないのか」という言葉は、怒り・激情・慣慨といった感情であり、Eさんの心理状態は、「怒り」に相当するものと解釈される。怒りは、家族やスタッフなど、あらゆる対象に向けられる。
3.× 「取り引き」は、避けられない現実 (死)をなるべく先に延ばそうと神などに交渉を試みる状態である。
4.× 「抑うつ」は、病状が悪化し、喪失感、経済的な重荷、家族に苦労を与えることへの罪悪感などが抑うつ状態を生じさせる要因となる。
5.× 「受容」は、死を恐怖し、拒否し、回避しようと必死であったのが、死は何か別のことかもしれないという心境が訪れる状態である。死んでゆくことは自然なことなのだという認識に達するとき、心が穏やかになり、「死の受容」へと至る。

 

 

 

医療的ケア

問題109 次のうち,スタンダードプリコーション(standard precautions:標準予防策)において,感染する危険性のあるものとして取り扱う対象を1 つ選びなさい。

1 汗
2 唾液
3 経管栄養剤
4 傷のない皮膚
5 未使用の吸引チューブ

 

解答

解説
 感染とは、細菌やウイルスなどが、からだの中に入り、増殖した状態をいう。①感染源、②生体の防御機構の低下、③感染経路、の3つの要素がそろうことで感染が起きる。感染源は、病気の原因となる細菌やウイルス(病原体)をもつ、人や動物、物などのことで、具体的には、「血液、体液(汗を除く精液・膣分泌物)、分泌物(痰・膿・鼻水等)、排泄物(尿・便・嘔吐物)、これらに触れた手指で取り扱った食品、介護に使用した物品、汚染された環境など」があげられる。スタンダードプリコーション(標準予防策)は、感染の予防対策として、病院や福祉施設で広く取り入れられており、感染の有無にかかわらず、手洗いや手袋、エプロンの着用などの徹底が求められる。

1.× 汗により染する危険性は低い。汗は汗腺からの分泌液で、主に体温調節の役割がある。汗の成分はほとんどが水である。汗から感染源となる病原菌が出ることはほとんどない。そのため、汗は感染源として取り扱わなくてよいとされている。
2.〇 唾液は唾液腺から口腔に分泌される消化液である。睡液にはさまざまな成分があり、そのなかには細菌やウイルスなども含まれる。咳やくしゃみ、接触などを通じて他人の粘膜に付着することで感染する危険性が高いため、感染予防対策が必要となる。
3.× 経管栄養剤は未開封のものを使用するのが基本であり、感染源となることはないため感染する危険性は低い。ただし、開封後長期間経通したものなど、保管方法によっては細菌等が混入していることもあり、感染する可能性がある。
4.× 皮膚の表面は角質があり、細菌やウイルスが体内に侵入できない構造になっている。そのため、傷のない皮膚から感染する危険性は低い。傷がある皮膚では、粘膜が露出する。粘膜は角質がなく防御できない構造のため、傷のある皮膚には細菌等が侵入しやすく感染する危険性が高い
5.× 未使用の吸引チューブは滅菌や消毒をされているのが基本であるため、感染の危険性はない。しかし、未使用であっても開封してあるものや使用期限を過ぎたものは、保管場所の状況により細歯等が付着し、感染する可能性があるため、保管や管理方法が大切となる。

 

 

 

 

問題110 喀痰吸引の実施が必要と判断された利用者に対して,喀痰吸引を行うことに関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 日中は, 1 時間おきに吸引を行う。
2 食後の吸引は避ける。
3 入浴時は,その前後に吸引を行う。
4 就寝後は吸引を控える。
5 仰臥位を2 時間保ってから行う。

解答

解説
 喀痰吸引は、①痰が増加している状態、②痰を排出する力が弱く、出しにくい状態、③痰がかたくなり、出しにくい状態、 のときに行う。痰はその日そのときの状況により、量や性状などが変わるため、喀痰吸引は決まった瞬間に行うものではなく、そのときの状況で判断し実施する。また、喀痰吸引は利用者の苦痛を伴う行為であることから、必要以上に行うことを避ける。

1.× 昼夜にかかわらず利用者により痰がたまる状態は異なり、決まった時間の喀痰吸引は適切ではない。喀痰吸引は、貯留状況を観察し随時実施する。
2.× 食後の痰の貯留は、痰による負担で咳き込み、嘔吐や誤嚥性肺炎につながる可能性があるため、食後にも喀痰吸引を行う。チューブの挿入や吸引による刺激で、咳き込みや嘔気が生じることもあるため、刺激は最小限にし、短時間で行う必要がある。
3.〇 入浴によって血液循環がよくなり、肺の奥底にたまっていた痰が喉のほうに上がってきたり、温度が上がってかたい痰が出しやすくなったりするため、喀痰吸引を必要とする。
4.× 健康な人には、就寝時であっても、痰が貯留したら無意識に嚥下し、排出する防御機能がある。吸引が必要な人はそれを行うことができないため、痰の貯留による誤嚥や窒息が起きる可能性が高い。就寝中でも、必要と判断したときには吸引を実施する。
5.× 同一体位で長時間寝ていると、重力でからだの下側に痰がたまりやすくなる。仰臥位では、背側の肺の奥に痰がたまってしまうため、効果的な吸引を行うことができない。重力を利用して痰の喀出を促す体位ドレナージ(体位排痰法)を実施することで、痰の排出を促し、効果的な吸引を行うことができる。

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