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第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題101~105】

問題101 胃ろうに関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 ろう孔周囲のびらんは,放置してよい。
2 ろう孔は,カテーテルの抜去後,およそ1 時間で自然に閉鎖する。
3 カテーテルの交換は不要である。
4 ミキサー食の注入は禁止されている。
5 経口摂取も併用できる。

 

解答

解説

「NPO法人PDN(Patient Doctors Network)様:胃ろうとは?

 胃ろうとは、腹壁から胃に穴を開け、そこからカテーテルを挿入し、胃に直接栄養剤を注入する経管栄養法である。経口的に食事を摂取できない場合に行われる。胃ろうのほか鼻から胃にカテーテルを挿入する経鼻経管栄養法もあるが、6週間以上の長期にわたり使用する場合は、利用者の選和感や負担を考慮し、胃ろうを増設する。

1.× ろう孔とは、お腹と胃がくっつくことでできる穴のことをいう。びらんの原因としては、ろう孔から胃液の漏れ出しによる皮膚への刺激、栄養剤の漏れ出しによる不衛生から皮膚の炎症が起こっていると考えられる。放置しているとびらんは悪化し、痛みが生じる。さらに、ストッパーの刺激による皮膚潰瘍や、かびなどによる感染症の危険性があるため、放置せず常に清潔に保つ必要がある。
2.× カテーテル抜去には胃ろうを終了し意図的に抜去する場合と、自己抜去の場合がある。いずれの場合も閉鎖まで、胃壁では、おおよそ2~3時間、腹壁から皮膚は24時間程度かかるといわれている。
3.× カテーテルは劣化・汚染の可能性から、定期的な交換が必要である。
4.× 液体栄養剤が一般的であるが、ミキサー食も可能である。ミキサー食は普通の食事をミキサーにかけとろみをつけたものである。在宅などでは家族と同じものを食べることができるなど、食のQOL (Quality af Life:生活の質) 向上につながる利点もある。
5.〇 経管栄養法から経口摂取へのリハビリを行う際、経鼻経管栄養法は咽頭部分にカテーテルが通るため嚥下時に違和感が生じリハビリの妨げになる。胃ろうから栄養補給を行いつつ、経口摂取へ移行するリハビリを行う。

 

 

問題102 Dさん(75 歳,女性)は,介護老人福祉施設に入所している。糖尿病(diabetes mellitus)があり,インスリン療法を受けている。2 日前から風邪をひいて,食事量が普段の半分程度に減っていたが,医師の指示どおりインスリン注射を継続していた。介護福祉職が朝食をDさんに渡そうとしたところ,顔色が悪く,「胸がどきどきして,ふわふわする」と話し,額には汗が見られた。
考えられるDさんの状態として,ただちに医療職に相談しなければならないものを1 つ選びなさい。

1 発熱
2 脱水
3 低血糖
4 貧血
5 意識障害

 

解答

解説
 着目すべきボイントは①風邪により食事量が減ったこと、②インスリン注射を継続していたこと、③Dさん本人の訴えがあったこと、④額に汗が見られたこと、である。
1.× 問題文より、風邪をひいたという情報が得られる。しかし、風邪の症状はさまざまであり、必ずしも発熱したとは限らない。発熱を疑い、熱を測る手順が必要になる。ただちに医療職に相談する内容ではない。
2.× 事例文の情報のみでは脱水についての記載らしきものは、「額には汗が見られた」ということである。だが、これだけだと脱水と判断するのは難しい。
3.〇 糖尿病は血糖のコントロールが不良な時があり、高血糖や低血糖が起こることがある。低血糖の症状としては、倦怠感・冷や汗・顔面蒼白・動件・悪心・頭痛・意識障害がある。食事摂取量が減ったが、指示どおりのインスリン注射を行ったことによる低血糖であると考えられる。直ちに医療職に報告し、血糖のコントロールについて相談する必要がある。
4.× 食事量が減ったことにより貧血の可能性は否定できないが、緊急性は低いと考えられ、報告すべき優先順位としては低いといえる。
5.× 介護福祉職が食事を運んだところ、Dさんから体調に関しての訴えがあったことから、意識障害ではないと考えられる。

 

 

 

問題103 皮膚の乾燥に伴うかゆみに関する次の記述のうち,適切なものを1 つ選びなさい。

1 高齢者では,まれである。
2 水分摂取を控える。
3 顔面に好発する。
4 利用者の爪は短く切る。
5 皮膚をかくことで軽快する。

 

解答

解説

1.× 高齢者の95%は皮膚の乾燥によって引き起こされる老人性乾皮症であるといわれている。その半数がかゆみを訴える。
2.× 高齢者のかゆみは、乾燥からくるものであることが多いため、水分を控えることでさらなる乾燥を引き起こすので、適切ではない。かゆみを抑えるためには保湿が必要である。日常生活の中でも加湿器を使用するなど、 乾燥対策を試みる。
3.× 老人性乾皮症の症状は全身広範囲にわたり発症する。特に腹部や腰部、大腿部、肩、上肢などに起こりやすい。ほぼ全身に起こるため、肌着は刺激の少ない木綿を用いるとよい。
4.〇 かゆみは我慢ができない苦痛である。 かゆみがあると無意識にかいてしまうことがある。かいてしまうことを想定し、皮膚の保護のために爪を短くし、皮膚の損傷を最小限にすることが必要である。
5.× 皮膚をかくことにより一時的に爽快感を得られるかもしれないが、かくことにより皮膚表面は破壊され、さらに症状が悪化する。皮膚をかきむしることにより炎症を引き起こし皮膚炎が出現する。これが皮脂欠乏性皮膚炎である。

 

 

 

問題104 入浴介護に関する次の記述のうち,適切なものを1 つ選びなさい。

1 家庭内での不慮の事故死のうち,入浴関連はまれである。
2 心臓に疾患のある人には,全身浴を勧める。
3 浴槽からの立ち上がりは,ゆっくり行う。
4 食後すぐの入浴を勧める。
5 入浴後,水分摂取は控える。

 

解答

解説
 入浴は、身体への負荷が大きく、危険を伴うということをまず理解しておく。入浴介護については、浴室環境や入浴動作、湯につかることなどが身体にどのような影響を及ぼすのかということを整理しておく。入浴による身体への作用には、温熱作用静水圧作用浮力作用がある。また、浴室環境として、居室や脱衣室と浴室の気温差などがあげられる。これらは、身体の循環器系に影響を及ぼす。

1.× 家庭内の不慮の事故死には、転倒・転落、溺死、窒息などがある。この溺死のほとんどは、浴槽内で起こっている。
2.× 身体が湯につかると、湯につかっている部分の血管が静水圧作用を受けて、心臓に戻る血液量が増える。全身浴では、肩から下肢までの血管が静水圧を受けることになる。そのため、胸から下の半身浴に比べて、心臓に戻る血液量は多くなる。よって、 心臓に疾患のある人は、心臓の負担を減らすために半身浴が望ましい。
3.〇 湯につかった後で浴槽から立ち上がる時は、血液が下肢の血管にたまり、心臓に戻る血液量が減少して血圧が低下する。その結果、脳への血流が減り、立ちくらみ(起立性低血圧)が起こる。これを防ぐためには、浴槽からの立ち上がり動作をゆっくり行うことが重要となる。
4.× 食後は、消化機能を維持するために、消化器官への血流が必要となる。入浴すると消化器官への血流が不十分となり、消化機能を損なう可能性がある。そのため、食後は、1時間以上経通してから入浴することが望ましい。
5.× 入浴により、身体が温まることで発汗が多くなる。そのため、入浴の前後で水分補給をする必要がある。 水分補給を行わないと脱水状態になることがあるので十分な注意が必要である。

 

 

 

 

問題105 排便の仕組みに関する次の記述のうち,適切なものを1 つ選びなさい。

1 仰臥位は,排便しやすい姿勢である。
2 交感神経は,直腸の蠕動運動を促進させる。
3 食事をとると,便意はおさまる。
4 息を吐きながら腹圧を低下させると,排便は促される。
5 排便時には,外肛門括約筋を意識的に弛緩させる。

 

解答

解説

1.× 直腸と肛門の角度を直腸肛門角といい、その角度は排便しやすさに影響する。仰臥位では、直腸肛門角が小さくなり、便がひっかかって出にくい状態となる。座位で少し前傾になる姿勢では、直腸肛門角が純角となり、腹圧もかけやすく、重力も利用できるため、排便しやすい姿勢といえる。
2.× 消化管の運動を蠕動運動といい、その動きは自律神経の支配を受けている。交感神経は、消化器官のはたらきを抑制させ、副交感神経は、消化器官のはたらきを促進する。
3.× 胃に食物が入ると、その刺激が結腸に伝わって結腸に蠕動運動を起こす。これを胃結腸反射という。結腸の蠕動運動によって便が直腸に移行し、便意が起こる。食べ物を食て便意を催すのは、このためである。
4.× 息を止めて腹圧を上昇させると,排便は促される。しかし、血圧も同時に上昇するので、脳血管障害が既往にある場合、いきまずに排便できるような支援が必要である。
5.〇 肛門周囲には、内肛門括約筋外肛門活約筋がある。便意を感じても、排便の準備が整うまで排便を我慢できるのは、意識下で排便をコントロールできるからである。直腸壁の刺激が脳に伝わると便意として認識され、 このとき無意識に内肛門括約筋は緩んでいる。しかし、外肛門括約筋は意識下でコントロールできるので、排便の準備が整うまで、肛門を締めておくことができる。そして、排便時に外肛門括約筋を弛緩させ、便を排泄する。

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