リハビリ特化型通所サービス 明日へ【施設案内】

第30回(H29) 介護福祉士国家試験 解説【問題76~80】

問題76 Bさん(75歳,男性)は半年前から尿が出にくくなり,時間がかかるようになった。2日前から風邪気味で,昨夜,飲酒後に市販の風邪薬を服用したところ尿が出なくなった。そのため,今朝になって病院を受診して導尿してもらった。
 Bさんの日常生活上の注意点として,適切なものを1つ選びなさい。

1 下半身の保温を心がける。
2 毎日,飲酒をする。
3 いすに座る時間を長くする。
4 排尿の回数を減らす。
5 飲水を控えるようにする。

 

解答1

解説

 Bさんは75歳の男性で、以前から排尿障害があり、飲酒後に風邪薬を服用したところ、尿閉(排尿できない状態) が認められた。これらのことから、前立腺肥大症が疑われる。前立腺肥大症は、男性特有の症状である。日常生活では、飲酒や刺激物の摂取を控える、悪寒冷を回避するなどの対応があげられる。
1.〇 正しい。寒冷刺激は交感神経系のはたらきを促進し、膀胱などの緊張を高め、前立膜の肥大による圧迫と重なることで尿閉がさらに悪化する可能性がある。そのため、下半身の保温に努め、副交感神経系のはたらきをうながし、臓器や筋肉の緊張を緩め、排尿しやすい状態することが効果的である。
2.× 前立腺肥大症の患者は飲酒を控えるべきである。
3.× 寝たきり状態の利用者であれば、適度な座位姿勢は、重力により排尿や離床を促すことができる。しかし、動作面で困ったことが記載されていないBさんの場合、いすに座る時間を長くすると下腹部以下の臓器がうっ血しやすく、排尿障害を助長する危険がある。そのため、下肢運動を行うなど循環系に配慮する。
4.× 尿は体内の老廃物を体外に排出する役割を担っており、Bさんのように尿排出障害の場合は、排非尿の頻度を増やして体内環境を整えるような対応が必要となる。
5.× 飲水を控えることで、脱水症状に陥り生命を脅かす危険がある。生体の恒常性を保つため、適度な水分摂取が必要である。

 

 

 

認知症の理解

問題77 認知症(dementia)の人への基本的な関わりとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 いすから立ち上がろうとする人に,「座っていてください」と言う。
2 トイレで排泄したいと言う人に,「今のおむつは機能が良いので,おむつの中にしてもすっきりします」と言う。
3 息子の居場所を心配する人に,「息子さんは会社で働いていますから,安心してください」と言う。
4 家に帰りたいと言う人に,「施設で楽しく過ごしましょう」と言う。
5 自分は何もわからなくなってしまったと悲しむ人に,「認知症(dementia)になった人は,皆さん同じです」と言う。

 

解答3

解説

 理念の根底にあるのは、「利用者本位」「自立支援」「尊厳の保持」などの支援の原則である。支援方法は、支援の原則に基づき、理念に近づくものであるかを検討し、実践する。
1.× 立ち上がろうとする理由があると考えられる。理由を聞かずに座ることを要求することは、「利用者本位」の原則に反している。
2.× おむつを使用している人でも、トイレでの排池を希望する場合には、「尊厳の保持」や「自立支援」の観点から可能な限りトイレでの排泄を試みるべきである。
3.〇 正しい。本人の心情を傷つける可能性はないかなどの倫理的な配慮のうえ、本人にわかるように情報を伝え、そのつど納得してもらうとよい。
4.× 施設サービスを利用する人にとって「家に帰りたい」という希望は、当然の感情であり、「家に帰りたい」 理由をアセスメントすることになる。しかし、支援者の発言は、利用者の自由な感情の表現を制止するものであり、適切ではない。
5.× 「認知症になった人は、皆さん同じです」 という発言は、「 個別性の理解」、「尊厳の保持」などの原則やケアの倫理に反するため、 適切ではない。

 

 

 

問題78 初期のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)における認知機能障害の特徴として,適切なものを1つ選びなさい。

1 時間に関する見当識障害は認められない。
2 エピソード記憶が障害される。
3 手続き記憶が障害される。
4 記憶障害の進行は急速に進む。
5 若い頃のことを忘れてしまう。

 

解答2

解説
 記憶には、「記銘」「保持」「想起(再生)」というプロセスがある。出来事からの記憶の保持時間で分類した場合、数秒~数十秒の記憶を「短期記憶」、それ以上長いものを「長期記憶」という。認知症では、比較的新しい長期記憶や短期記憶の障害が初期から目立つことになる。長期記憶を内容で分類すると、 下表のようになる。認知症では、エピソード全体を忘れることが特徴となる。また、 非陳述記憶に含まれる手続き記憶は、 認知症の影響は受けにくい。
●記憶の内容による分類

陳述記憶内容を言葉で説明できる記憶
①エピソード記憶個人的な経験に関する記憶
②意味記憶見たものや聞いたものの意味がわかるといった、知識に相当する記憶
非陳述記憶手続き記憶からだ(行為)を使って表現できる記憶

1.× 見当識障害では、時間・場所・人物について、自分がおかれている状況の認識が難しくなる。見当識は、「時間→場所→人物」の順に障害され、場所は遠方から、人物はめったに会わない人からわからなくなり、進行に伴って身近なものも認識しづらくなる。
2.〇 正しい。エピソード記憶が障害される。認知症の記憶障害の特徴である。
3.× 非陳述記憶に含まれる手続き記憶は、自転車の乗り方や包丁の扱い方など、一度獲得した技能などであり、認知症の影響は受けにくい。
4.× アルツハイマー型認知症は神経細胞の変性疾患で、 ゆるやかに不可逆的に進行する。
5.× 若い頃のことに関する記憶は、古い長期記憶として保持されていると考えられるため、認知症が重度になるまで影響を受けることは少ない。

 

 

 

 

問題79 前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)の特徴として,適切なものを1つ選びなさい。

1 物忘れの自覚
2 幻視
3 抑うつ
4 急速な進行
5 常同行動

 

解答5

解説

 前頭側頭型認知症は、脳内の神経細胞の脱落によって発症する認知症 (dementia)の1つであり、ピック病が代表的な疾患である。神経細胞の変性が前頭葉と側頭葉を中心にみられる。前頭側頭型認知症は、 初期には記憶が比較的保持されているにもかかわらず、 同じ行動を場り返す(常同行動)、抑制の利かない行動をとる(脱抑制行動)、関心のないことを無視するなど行動に極端な特徴をみせ(無関心・無頓着)、日常生活が難しくなるほどの症状が生じる。 高齢で発症する例も存在するが、70歳以上での発症はまれである。 症状の進行を遅くするような薬はまだなく、 徐々に進行していく。
1.× 前頭側頭型認知症は、興味や関心の偏りは病識の欠如にも影響すると考えられていることから、物忘れを自覚する可能性は低いと考えられる。
2.× 幻視の生じる可能性があるものはレビー小体型認知症であるため、適切ではない。
3.× 抑うつ状態になりやすいのは、脳血管性認知症であるため、適切ではない。
4.× 前頭側頭型認知症は神経細胞の変性疾患であるため、徐々に進行していく。
5.〇 正しい。常同行動は、前頭側頭型認知症の主な症状の1つである。

 

 

 

 

問題80 Cさん(70歳,女性)は息子(35歳)と二人暮らしをしている。息子の話によると,1年前から時々夜中に,「知らない人が窓のそばに立っている」などと言うことがある。また,ここ3 か月で歩くのが遅くなり,歩幅が狭くなった。家事は続けているが,最近探し物が目立ち,料理の作り方がわからないことがある。病院で検査を受けたが,頭部MRIでは脳梗塞(cerebral infarction)や脳出血(cerebral hemorrhage)の指摘はなかった。
 Cさんの状況から,最も可能性の高いものを1つ選びなさい。

1 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)
2 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)
3 慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)
4 血管性認知症(vascular dementia)
5 うつ病(depression)

 

解答2

解説

 幻視を生じさせる精神疾患は多数あるが、問題文から歩幅の狭くなるパーキンソン症状や認知機能の低下、実行機能障書も推測されることから、レビー小体型認知症の可能性に気づける。よって、解答は2である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)