第30回(H29) 介護福祉士国家試験 解説【問題101~105】

 

問題101 生体で生じる化学反応について,酵素は重要な役割を担っている。酵素を構成する主要成分として,正しいものを1つ選びなさい。

1 タンパク質
2 糖質
3 脂質
4 ビタミン類
5 無機質(ミネラル(mineral))

解答1

解説
1.〇 正しい。酵素を構成する主成分は、タンパク質である。酵素とは、生体内で産生され、生体における化学反応を触媒する、タンバク質や複合タンパク質と定義される。
2.× 糖質は酵素を構成する主成分ではない。糖質はブドウ糖を主体とするもので、炭水化物が小腸や肝臓で分解され、血液中の血糖となり、組織、脳、神経のエネルギー源として用いられる。
3.× 脂質は酵素を構成する主成分ではない。脂質は、細胞膜・血液・ホルモンなどの原料となる。脂溶性ビタミンであるビタミンA・D・E・Kの吸収を助けるはたらきがある。
4.× ビタミン類は酵素を構成する主成分ではない。からだの正常な発育と代謝において重要なはたらきをもつものである。
5.× 無機質(ミネラル)は酵素を構成する主成分ではない。からだをつくるもとになるものである。

 

 

 

 

問題102 Lさん(84歳,男性,要介護4)は,自宅で妻と暮らしている。数日前から妻が体調を崩しているため,短期入所生活介護(ショートステイ)を利用することになった。利用初日に,介護福祉職が身体の確認をするために着替えを行ったところ,Lさんの腋窩と腹部に赤い丘疹が見られ,一部に小水疱を伴っていた。強いかゆみを訴えており,手指間には灰白色の線が見られる。
 Lさんに考えられる皮膚疾患について,集団生活を送る上で最も注意すべき優先度の高いものを1つ選びなさい。

1 皮脂欠乏性湿疹(asteatotic eczema)
2 疥癬(scabies)
3 白癬(tinea)
4 蕁麻疹(urticaria)
5 帯状疱疹(herpes zoster)

解答2

解説

 問題文から、Lさんの腋窩と腹部に赤い丘疹が見られ,一部に小水疱を伴っていた。強いかゆみを訴えており,手指間には灰白色の線が見られる状態になる原因を選択する。
1.× 皮脂欠之性湿疹は、皮膚表面を覆う皮脂が加齢により極端に減ることで皮膚がひび割れ、表皮が剥がれて、かゆみ (搔痒感)を伴う。しかし、感染性の疾患ではない。
2.〇 正しい。疥癬はヒゼンダニというダニの一種が皮膚に寄生して発症する。感染性の皮膚疾患である。好発部位は、皮膚と皮膚が触れ合うところ、主に腋窩、指間部、陰部であり、そこから顔面を除く全身に広がっていく。粟粒大の紅色丘疹が発生し、その中心に小水疱や小膿疱ができ、 やがて結節(皮膚が盛り上がってできたふし)となる。手関節や指間には疥癬トンネルといわれる灰白色の線が見られる。搔痒感が強い。施設などでは集団感染を引き起こす危険性の高い疾患であるため、注意が必要である。
3.× 白癬は、真菌(かび)の一種である白癬菌が角質層下に寄生して発症する、感染性の皮膚疾患であり、全身に発症する。体部白癬の症状は、搔痒感もあり、まれに小丘疹や小水疱が見られるが、発疹の特徴は輪状の紅斑である。
4.× 蕁麻疹は、発症初期から搔痒感を伴う疾患であり、皮膚の一部に膨疹(皮膚が平たく盛り上がる発疹)が出現し数時間から24時間以内に消失するが繰り返し出現することも多い。感染性の疾患ではない。
5.× 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスにより発症する。発疹は発赤の強い小水泡で、胸腹部の神経走行に沿って帯を巻いたように発症する。しかし、知覚神経節領域に発症するため、症状は搔痒感ではなく、疼痛である。

 

 

 

 

問題103 排便に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 寝たきりになると下痢になりやすい。
2 麻薬性鎮痛剤の使用中は便秘になりやすい。
3 うつ病(depression)では下痢になりやすい。
4 ウイルス感染では便秘になりやすい。
5 腸閉塞(intestinal obstruction)では下痢になりやすい。

解答2

解説
1.× 寝たきりになると、身体の活動が低下し、腸や腹筋の力が低下することで、下痢ではなく便秘を引き起こしやすい。
2.〇 正しい。麻薬性鎮痛剤の副作用によって、 腸蠕動は抑制され、便秘や腸閉塞を起こしやすくなる。
3.× うつ病になると身体の自律神経的にも活動量的にも低下する。そのため、便秘になりやすい。
4.× ウイルス感染では、便秘より嘔吐を伴う下痢症状を引き起こす可能性が高い。
5.× 腸閉塞とは、腸が変形したり、腫瘍ができたり、異物が詰まったりなどのさまざまな原因によって、食べたものや消化液などが腸の中にたまっている状態である。腹痛、嘔吐、腹部膨満、排便・排ガス停止が主症状である。

 

 

 

 

問題104 次の症状のうち,膀胱炎(cystitis)で最も起こりやすいものを1つ選びなさい。

1 発熱
2 乏尿
3 残尿
4 腰痛
5 排尿時痛

解答5

解説

 尿路感染症とは、尿がつくられ、排出されるまでの道筋である、腎脈・尿管・膀胱・尿道のいずれかに炎症が起こる疾患である。原因菌である腸内細菌、特に大腸菌が尿道口から膀胱に入り込む逆行性の場合が多い。特に尿道が女性は男性より短いため細菌が侵入しやすい。
 症状は感染を起こした部位によりさまざまである。尿路感染症の症状を下記にまとめた。

●尿路感染症の症状

 痛み尿の変化発熱
腎盂腎炎腰部・背部痛白く濁る高熱が出る
膀胱炎排尿時痛濁る・血が混ざる稀に微熱
尿道炎灼熱痛膿が混ざる発熱はみられない。

よって、解答は5.排尿時痛である。

 ちなみに、選択肢2の乏尿とは、本来1000~1500ml排出される1日の尿量が400ml以下である場合のことをいい、これは腎機能の急激な低下により急性腎不全を起こした場合に特有な症状である。また、選択肢3の残尿とは、尿が排出しきれず勝眺内に尿が残ることであり、前立腺肥大症に多く出現する症状である。

 

 

 

 

 

問題105 体内時計を1日24時間の周期に修正する最も強力な因子として,正しいものを1つ選びなさい。

1 日光
2 食事
3 運動
4 仕事
5 入浴

解答1

解説
 睡眠のしくみは体内時計による概日リズム(サーカテディアンリズム)恒常性維持機構(ホメオスタシス)によるものがある。体内時計は夜になると眠くなるしくみであり、恒常性維持機構は疲れると眠るしくみである。

 日光は体内時計の周期を修正する最も大きな因子である。人間の体内時計はおよそ25時間である。毎朝起きて日光を浴びることで、体内時計を「1日24時間の周期」にリセットさせる。日光を浴びると、眼から脳の視床下部にある視交叉上核にその信号が伝わる。視交叉上核には体内時計があり、その体内時計の指令で、脳にある内分泌腺の松果体からメラトニンの分泌量が調整される。メラトニンは眠りを誘うホルモンである。日光を浴びるとメラトニンの分泌量は減少し、15~16時間後に分泌されはじめ、睡眠をうながす。光の量はメラトニンの分泌量に影響するので、夜間に人工的な強い光を浴びると、分泌が抑制され眠りにつきにくくなる。よって、解答は1.日光である。

 

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